ハイカロリーラヴァーズ

「そんな簡単に言ってやらないよ。いざ声かけてみたら、身代わりだもんなぁ」

「青司……」

 いかに自分が暗い闇に包まれていたか。青司のことが分からなかったか。分かろうとしなかったのか。

「もしもっと早く言ってたら、俺と別れてただろ? 分かるよ、それくらい」

 なにも知らないで、あたしは。

「ごめんなさい。ごめんね……」

「もう良いよ。俺がそう望んだんだし。それに、いま華ちゃんこうして居るんだから。ここに。俺のところに」

 目隠しして、秘密を重ねた。見たくなかった。秘密だけじゃなく、罪も重ねた。青司を苦しめていた。

 お互いに遊んでいるだけだ。誰にも迷惑かけていないもの。そう思っていたのに。思い上がった「遊び」だったんだ。

 自分だけ、偽りの天国に酔いしれていた。

 青司が、笑っている。人って、こんなに温かいものだったんだ。あたしは茶色い髪を、優しく撫でた。痛んでる。今度、洗い流さないトリートメントを買ってきてあげよう。

「青司が居なかったら、あたし、抜け出せなかったと思う。ずっと、暗闇に居たと思う」

 うん、青司は静かに頷いて聞いている。

「青司は、恩人だよ。あたしの」

 ここに、たどり着いて、良かったと思う。心から。

「……大好き」

 青司が嬉しそうに笑ったから、あたしは泣いてしまった。

 こんな夜が、ずっと続けばいいな。この安息と青司を守れるなら、なんでもできる気がするよ。

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