あなただけを見つめてる。
──翌日。
教室に着くと、すでに女子たちの間では昨日の話で持ちきりだった。
“昨日の修羅場、あれはマジですごかったね!”
“てかさー、あの彼女ヤバくない?彼氏の学校まで押しかけてきて、校門でギャーギャー騒ぐとかマジみっともないよね」
“だよねー!あたし、超ひいたし。向日くんが可哀相~”
“そもそも、向日くんて彼女いたんだね!あたし全然知らなかった!”
“相手が他校だったから噂になってなかっただけでしょ。だってあの向日くんに彼女いない方がおかしくない?”
“まぁね!けど、あの流れだと、もうあの子とは別れるっぽいし関係ないけど”
すごくうれしそうな顔をしながらそういう根本さんの顔が、たまたま視界に入ってしまった。
根本さんたちは、私が帰ったあともあの二人の様子をずっと見てたのかな。
向日くんは、本当にあの彼女と別れるの?
……あ~、そこのところ、すっごく気になる。
もし、彼女と別れたとしても、私に何ができるってわけじゃないのにね……。
それにしても、昨日のふたりのことがこんなに噂になってたら、向日くんも学校に来るのが気まずいんじゃ……。
私は、まだ来ていない向日くんの席を黙ったまま見つめていた。