あなただけを見つめてる。
目の前にいたのは。
「向日くんと、土屋くん」
まさか、図書室でふたりに会うとは思ってもいなくて、驚いて固まる私。
部活は?って一瞬思ったけど、テスト1週間前からはどの部も休みに入ることを思いだした。
「なんで?他の席空いてるでしょ?」
けれど、そんな二人に対して冷たく言い放つのは、私の横に座っている緑川さんだ。
「緑川~。そんな冷たいこと言わないでよ。俺ら、ふだん部活ばっかで全然勉強してないからマジでヤバイんだよ。だから、一緒に頼むよ。このとおりお願いしますっ!」
そう言って、顔の前で手を合わせてお願いするのは土屋くんだ。
「……葉月さん、どうする?」
「私はかまわないけど……」
むしろ、向日くんと一緒に勉強できるなんて、夢みたい。
「葉月さんがそう言うなら……。そのかわり、土屋。あんたふざけずに真面目にやりなさいよ?」
緑川さんは、いつもお調子者の土屋くんをギロっと睨みながら釘をさす。
「もちろん真面目にやるって!やったな、朝陽。成績がいいふたりが一緒に勉強してくれたら俺らも助かるよな♪」
「おう、葉月も緑川もよろしく」
にこっと微笑む向日くんと目が合って、ドクンと胸が高鳴った。