金曜日は微熱
いわゆる『お姫様だっこ』で私を抱えたまま乱暴に寝室のドアを開け、部屋の中を進む。

そうして奥にあったベッドの前まで来ると、どさり、私を背中から落とした。

そのまま課長は、私の上に馬乗りになる。



「課長……?」

「ほんっとおまえは、タチ悪いな。あのタイミングで告白とか」



言いながら、比嘉課長の手が私のコートのボタンを開けていく。

脱がせたそれを床に落として、課長は自分のネクタイを緩めた。



「……その目、やめろ。平静じゃいられなくなるんだっての」



余裕なく呟いて私の目元を大きな手のひらで覆う課長に、どきんと胸が高鳴る。


平静じゃない課長って、どんな顔?

もっと、部下に対する態度じゃない課長の声、聞きたい。







「──か、ちょう、は……私のこと、嫌いですか?」



私の首筋にキスを落とす課長に、いちいち震えながら訊ねる。

視界を奪う手は、もうどかされていたけれど。ほとんどあらわになった私の素肌に触れる課長を見ていられなくて、さっきからぎゅっと目を瞑ったままだ。


弱々しく響いたその問いに、ふっと、課長が笑みをこぼした気配がした。

そうして私の耳元にくちびるを寄せて、あまくささやく。



「今日は、俺も酔ってるからな。……“ノー”とだけ、答えておく」



言うが早いか、また課長は、私を快楽の中へと誘っていく。

その波に飲まれながら、『じゃあ、「私のことすきですか?」って訊ねたら、なんて答えてくれるんだろう』って。

明日、もし目が覚めたときに隣りにいてくれたら、訊いてみようって。

頭の片隅でぼんやり思いながら、私は絡められた左手に、ぎゅっと力を込めた。









/END
2014/11/15
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