そんな恋もありですか?


壁に向かって、
追い詰められた状態で、
あゆは目を見開いた。

ドン!

守田の右手は
思いっきりあゆの行く手を塞ぐように、
壁に衝撃を与えた。


マグネットで貼られていた掲示物がバラバラと音をたてて床に転がり落ちて、
大変拾わなくちゃと思い下を向いた顔を
左手で持ち上げられる。


「どこへ行くんだよ」

「どこってあの?」

「ほかの男のところになんか行くな」

「え、ええと……」


これがあの、クールなシェフなの?

怒りと言うより、
悲しそうに見つめる彼の眼から、
あゆは視線をそらすことができないでいた。

*。.*。.*。.

 
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