て・そ・ら


「あらー、綺麗になったじゃない」

 もうお昼だけどどんな感じ?と部室を見にきた顧問が嬉しそうに手を叩く。そこには綺麗になった部室と、疲れきってダレる部員達。

「せんせー、おなか空きましたー」

「せんせー、疲れましたー」

「せんせー、どこ行ってたんですかー?」

 せんせーせんせーと連呼する部員を微笑みでかわしながら、顧問は次の指示を出す。

「あとは用具を乾かさなきゃね。校庭の隅っこ、ほら体育倉庫の隣にある芝生にブルーシート敷いて乾かしましょう。夕方までには私が回収するからね。教頭先生に許可とってくるから、皆で運んでね」

「はーい」

 うんざりした顔と声で皆で返事をする。・・・ああ、もうクタクタだよ。どうして土曜日に学校きて労働してるの、あたし達。

 だけど仕方ないから言われた通りに皆で洗ったものを運び出す。ブルーシートを運んできた顧問の指示で、順番に絵筆やパレット、木材などを並べて乾かしていく。

「ちょっと圧巻よね」

「うん、何か面白い絵だね」

 晴れ上がった太陽の真下、ブルーシートに整列する愛用の道具達に、部員はちょっと機嫌がなおった。やはり好天というのは人間の気分をよくさせるらしい。

「はい、お疲れ様でした。皆気をつけて帰ってよ~。寄り道はしちゃ駄目だからね~」

 顧問の声に、ヤレヤレと解散する。


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