て・そ・ら


 更に更に例えば、あれだけ気をつけていた数学B-2の授業でいきなりふられた問題を解くことが出来ずに、今度の実力テスト前まで恐怖の朝学習への参加が決定になってしまった。教室中の、「自分でなくて良かった」という安堵の雰囲気と「すごく可哀想」という同情の雰囲気とが居た堪れなかった。

 あうううう~・・・。

 もう、そのどれもがあたしにかなりの打撃を与えて元々そんなにないHPを削ったのに、更にオレンジタイムまでないってことなのだ。もう、酷い。一体あたしが何をしたっていうの。

 毎日学校にも遅れずにきて、掃除だってさぼらずにやるし、授業だって聞いている。ちょっと部活は早退気味だけど、それだって問題ない程度のはずだ。

 ・・・・なのに~・・・。

 信号にまで、連続でひっかかりました。

 はあ、ともう一度ため息。本日5回目の赤信号・・・。

 誕生日にお父さんに貰ったお気に入りの傘でも、毎日使っていたら飽きもくるってものだよね。あたしはブツブツ言いながら、傘をくるくると回していた。

 そこに、後ろからぼそっと声がしたのだ。

「・・・すげーため息」

 って!

 あたしは一瞬固まって、耳に飛び込んできたその声の主を特定する。・・・もしや!

 振り返ると、そこには同じく傘を持って立つ、横内がいた。

 ・・・・おおーっ!?

「よ、横内、君・・・」

「よく降るな、雨」


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