単純な恋。

「…私だって腹筋が割れたイケメンがテレビ出てたら見ちゃうし…もし迫ってきたらクラッとするかもしれないし…そんなこと実際にはないけど…」



恥ずかしくて訳のわからないことをベラベラと言ってしまった。


「クラッとするの？」


「例えばよっ」


「フゥ～～ン。クラッとするんだ。…俺、体、鍛えようかな？」


お腹を擦る西原。





こんな青空の下。
何、話してるんだろう私達｡


クダラナイ事でケンカして…
ケンカって言えないほどの事だけど。


まだお腹を擦ってる西原に笑えてきた。





「もうすぐ、満開だね。桜って好きだな。春って感じでワクワクする」


桜を仰ぎ見ながら言う。


「だな」


手に西原の指が触れる。


こんな些細な事でも嬉しく思う。


「エクレア買ってきた。夏海の好きなやつ。帰って食べよう」


横に置いてあったコンビニの袋を私に見せた。


「うん。ありがとう」


私の好きな物、知っててくれてる…。




立ち上がろうとした西原の肩に手を添えた。


そして…


私から西原に近づく。



口を押さえて驚く西原に帰るよっと言ってマンションに歩き出した。