女子力高めなはずなのに
どういう風の吹き回しだろう。

もしかして、俺が風邪をひいたのは自分のせいだとか思っているのか?

ずっと抱き締めていたいなんて思った、やましい俺自身のせいなんだけどね。

でも、中野さくらが家に来てくれるなんて、本当は嬉しくて心が湧き立つ。

俺のそばに来てくれるなんて、本当に嬉しい。


しばらくしたら中野さくらはいろんな物を買い込んで家にやって来た。

「こういう時はたくさん水分摂った方がいいから、スポーツドリンク買って来たよ。置いておくね。あ、台所使わせてもらうね。……病人はいいから寝てなさいっ!」

中野さくらは早口でいろいろとまくし立てて俺をベッドに追いやると、台所に立って何かを作り始めた。

台所から音が聞こえるなんて久しぶりだ。なんだろう、なんか安心する。

今までそんなことなかったんだけどな。むしろ、勝手に台所を使われるのは嫌だった。でも、全然嫌な気がしない。

風邪ひいてぼーっとしているからだろうか。それとも、中野さくらだから、だろうか。
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