女子力高めなはずなのに
「そんなに雰囲気変わったら、みんなにビックリされるんじゃない?」

「いいんだ、別に。むしろ気合い入るね」

キリッとしちゃって超イケメンな井川さん。

ちょっとだけ寂しくなった。

「……色白やせ眼鏡も、私は好きだよ」

井川さんはフッと笑った。

「知ってる」

なによ、自信満々な態度!

「でもね、こっちが俺の本来の姿だから。ふて腐れるのはやめて、俺もちゃんと現実に向き合うことにしたの」

「ふーん」

「それに、中野さくらの男がヨレヨレってわけにはいかないだろ」

「……」

流し目でチラッと見られてまた照れた。

それにしても、カッコイイ姿が本来の姿とはね……。

いい子ぶらない私。
ヨレヨレにならない彼。

なんだかおかしな組み合わせだけど、どんな姿でもどんな中身でもお互いに好きだって分かったから。

それが心の支えになって先に進める気がする。

お父さんにも、ちょこっとだけど立ち向かえたし。

もうウジウジ怖がるのはやめよう。

いつも心のどこかで得たいの知れない何かに怯えてたけど、今は全然怖くない。

得たいの知れない恐怖、それは見捨てられる恐怖かな……。

でも、井川さんには不思議とその恐怖を感じない。
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