だらしない上司の扱い方。
『宜しくお願いします』
どうにか提出すべき書類を探し出して届ける事が出来た。
『はぁ……』
無意識に漏れるため息。
なんか疲れたし、コーヒーでも飲もうかな…。
本当はカフェとかでちゃんとしたコーヒーが飲みたいけど、仕事中にそんな贅沢を言ってる余裕は無い訳で。
缶コーヒーで我慢する事にする。
『……だよな?』
『あぁ……。加々美さんと課長な』
角を曲がればすぐに自販機のあるフロアに着くという所で聞こえてきた自分の名前に足が止まる。
聞き覚えのある男性の声は恐らく、うちの部署の社員。
『毎日、よくやるよな。あの夫婦喧嘩』
ちょっと…!こんな所でも言われてる訳!?
勘弁してよっ…!
っていうか、こんな所で何サボってるんだか…。
注意しようかと、足を一歩踏み出そうとした
。
でも、更に聞こえてきた会話に、固まる。
『確かに。でもさ、課長は実際、どうだか知らないけど、加々美さんってそういう風に見れなくね?』
『あー…なんか、彼女とか嫁にしたいって感じじゃないかもな。お節介っていうか、いちいち色々言われてたら毎日一緒に居たら疲れるかも』
言いたい放題言われてて、本来ならすぐにこの場を出てって言い返すとか、普段の私のイメージからしたら、ギャーギャー文句言う位だろう。
でも、痛い所を突かれて平気で居られるほど本当は強くなんて無い。