晴れ女

ヤバい!
そう思った時にはもう遅くて。

「もしかして泣いてた?大丈夫?」



急に親身になろうとするナンパ男。

……もう。最悪。



「本当に真っ直ぐ送ってあげるよ?」


それでも車に乗せようとする心意気に乾杯だよ……

私が乗らないとは思わないのかな?



知らない男ばっかりの車に一人で乗るやつが居たら全力で説教してあげるわよ……


半ば呆れ顔で、乗っていた黒い車に目を向ける。


五人乗りの車に……三人。

はあ……バカなの?


思わず溜め息を吐いたその時。




視線の先にチラリと見えた見知った顔。


――なん、で?


一度緩んだ涙腺はちょっとした事でまた崩壊寸前。

笑顔を見せる横顔に、溢れそうになる涙を我慢する事で必死になり、喉が痛い。
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