むせかえるよな倉庫の片隅で
倉庫の片隅で

「センター長、欠品があるんですけど……データ上ではまだ、42個は残ってるはずなんです」


事務所の入口から、エプロンをつけたパートのおばちゃんの声がした。


「悪い、俺は今からリフト動かさなきゃいけないから」


上下共紺色の作業着を着たセンター長が、みんなの顔を見まわす。


ああ、嫌な予感……。


「荒川さん、探してあげて」


ほらね。やっぱりセンター長は、いつものように私の名前を呼んだ。


今年30歳のセンター長は、手足がやたら長くて、背が高い。


そして目が一重で鼻がとがっていて、無駄に威圧感がある。


短い髪の上に乗っかったヘルメットが、似合うような似合わないような……。


まあ、そんなことはどうでもよくて。


ここは全国展開している雑貨チェーンに送る品物を保管している倉庫。


私はそこの事務員のはず……なのに、たまに倉庫の中の仕事にかり出される。


倉庫の中では、パートさんたちが、各店から注文された商品を、体育館4個分くらいの大きさの倉庫からピッキングしている。


そして、梱包担当のパートさんがそれを梱包し、各店に配送する。


そんな地味な業務を毎日繰り返している。


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