裏腹王子は目覚めのキスを
窓の外には澄み渡る青空が広がっているのに、わたしの胸には一向に晴れ間の見えない厚い雲がずしりと横たわってる。
吐き出した吐息まで灰色に煤けている気がした。
止まないため息をつきながらソファに寄りかかったとき、フローリングに投げ出していた携帯が鳴った。
のろのろと腕を伸ばし、着信の画面を確認して耳に当てる。
『もしもし羽華子?』
電話の相手は、ついさっきわたしに不採用の連絡をしてきたばかりの健太郎くんだった。
「うん、どうしたの?」
気落ちしたまま答えると、彼は相変わらず抑揚を欠いた声で言う。
『やっぱり落ち込んでるね』
電話越しだと、健太郎くんの感情はますます見えない。
乾いた声で、彼は続ける。
『まあ、面接を四回も連続で落ちたんだから、当然か』
「……うん」
『こんなに落ちるのは確かにめずらしいけど、落ち込んでても仕方ないよ』
健太郎くんの飾らない言葉は、わたしをまっすぐに突き刺す。胸の底にじわりと血が滲んでいくような気配を感じながら、かろうじて「そうだね」と口にした。
健太郎くんは容赦がないけど、彼の言っていることは間違いじゃない。悪いのは、面接に落ち続けているわたしだ。
黙り込んでいると、電話の向こうの口調が微かに変わった。
『来月のお盆休みさ、旅行に行こう』
それはまったく予想外のセリフだった。