絶対零度の鍵
禁忌


荒れ狂っていた空に、急に訪れた静寂。



蓮貴の後ろに回り込もうと加速した右京も、その異様な静けさに気付く。




同時に。



「うっ」



目を開けていることが難しい程の閃光が辺りを覆う。




反射的に目を閉じてしまう右京の身体に衝撃が走った。



「!?」



抗うことのできない大きな圧が、進行方向とは反対へと押しやる。


なんとか抵抗しようと試みるが、無駄に力を消費するだけだった。



右京はできるだけ身を伏せて、かばうような姿勢を取る。




が、直ぐに楽になった。




「…?」



不思議に思って、恐る恐る目を開けると、かなり押し戻された位置に自分が居る他は、風景に変わりはない。




ただ。



「タクミ!!!」



左京の驚いたような声が響いた。
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