絶対零度の鍵



「えっと、まず、季節外れなんだけど―、転入生を紹介したいと思います!」



途端に教室中が騒がしくなった。



男ー?女ー?と口々に須美子ちゃんに問いかけている。



「なぁ、美女だといいな。」



多分に漏れず溝端までもが、僕に同意を求める。



「興味ない」



僕は呆れたように溜め息を吐いた。




「静かに!!!色々事情があって、留学生の子なの。日本語がペラペラだから安心してちょうだい」




ふふふと笑う須美子ちゃんの言葉に、僕は、ひっかかるものを感じる。




前にもこんな事が、あったような―




「さ、自己紹介をしてくれる?」



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