厄介なkissを、きみと ー fairy tail ー

タケルは、ここから近いコンビニとは反対の方向に自転車を走らせていた。


「こっち、じゃないの?」

コンビニのある方向を指さして訊ねたオレに、

「こっちでいいんだよ」

と言って、ニッと歯を見せて笑う。


「なんだよ、それ」

とりあえず、自転車をこいでタケルの元へ向かう。


「あっちの方が近いのに」

タケルの隣に並んでそう言うと、

「だって、あゆみんち、こっちだろ?」

って。


「………え?」


わざわざこの道を選んだ理由がわからなかったオレは、タケルの言葉を聞いてハテナを並べた。


「………あゆみ、の?」


タケルの表情が、フッと柔らかいものになる。

それが、照れているように見えて。


オレの頭の中はハテナがいっぱいだったのに、それ以上、なにも訊けなくなってしまった。

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