OUT


竜は壁を震える両手で支えると、残った力で懸命に押した。



「……ぐぅ…動け…動けよ馬鹿ぁ…!!!!」



―――ズズズズ……



自分の足が、力に負けて後ろに下がる。



ガタガタガタガタガタガタガタガタ



寒さで体の震えが止まらない…



とうとう、手の甲が固まりだした。


それでも竜は壁を押し続ける。




「…はぁ…死んで…たまる…か…親父の…敵…討たない…とぉ!!……」


腕に目一杯、力を入れた瞬間、



―ブシュ!!!!



「!!!!」


固まった手の甲が、力に負けて、裂けた。


真っ赤な血が、竜の制服につく。

痛い、を通りこして、何も感じなかった。



「ぐ…あぁ…はや…く…進んで…くれ…よ…」



痛くない。

全然痛くないんだ。

だけど…

壁を押しただけで裂けた自分の腕が…いや、体が、本当に脆いんだって思うと、悔しくて涙が滲み出た。



「…くそ……!!く…」


瞼が重い………。


身体が寒さに負け、強烈な睡魔が襲ってきた。




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