OUT
「「え…」」
部屋の中にいる竜と、外で懸命に引っ張っている永遠は、ある異変に気付いた。
「……今…」
「……動…いた…」
永遠は眉をハの字にすると、また壁を引っ張った。
確かに今、少しだけ手応えを感じた。
壁と床がこすれる音が聞こえた。
希望が、見えてきた。
「竜―――!!!!死ぬな――!!!!絶対諦めるなぁ―!!!!」
竜は、部屋の中で、その永遠の、自分に向けての言葉を、ちゃんと聞いていた。
「…永遠…」
涙が、込み上げる。
懸命に壁を引っ張ってくれている。
俺を助けようとしてくれている。
「今助けるから…!!!ひぐ…絶対諦めるなぁ!!!!りゅ…竜ぅ!!」
鳴咽の入った、永遠の言葉だけが、竜の耳に入る。
「ぁ…ありがとぉ!!!永遠…ネロ…うぅ…ありがとう!!!」
涙が止まらない。
親父…
やっとわかった気がする。
――ズズズズ……
壁が徐々に動きだした。
竜は涙を流し、呟いた。
「……人の…有り難み…を…」
―――――ズズズズ…