極妻
「………ちょお!?」


焦って否定しようとした言葉の途中で、押し倒された。あっという間に馬乗りになった朔夜の顔が目の前にある。


「俺に惚れたか小夜子?」


「あほちゃう!?」


まるで勝ち誇ったように余裕綽々の顔。いつも通り"俺様"の旦那さんに戻ってる。


朔夜はいつも心の奥に鍵をかけて、誰も立ち入れない領域を隠し持ってるんや。誰にも素顔を見せないで。


「俺に抱かれたいんならそう言え?」


けどこの時、お方様たちの顔がパッと浮かんで、何故かは分からんけどついイラッとしてしまった。


「だからあり得えへんて!うちが好きなんは尊兄ちゃんだけや!好きでアンタなんかと結婚したんやない!夫婦なんて形だけや!忘れんといて!」


つい勢いで怒鳴ってしまったあと、ハッとした。朔夜はいつもと同じ冷たい目で私を見下ろしている。


「ああそうだったな。俺も小夜子なんかどーでもいい。ただの暇潰しだ」












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