極妻
樋ノ上さんが出ていくと、お方様とかいう六人は、私と向かい合うように正座した。


そのうちの、ひときわ綺麗で色っぽい人が、ひとり五人の前に座った。リーダー格なんやろか。


シーン…とした部屋で、この人たちの気迫と美貌におされ、沈黙が重くて仕方ない。


「正妻の小夜子様ですね?昨日は挨拶もできなくて申し訳ありませんでした。私は綾と申します」


私をしこたま観察した後、先頭に座ったべっぴんさんが、口元だけ笑いを浮かべてそう言った。


「…綾…さん?」


「後ろにいるのは左から、眞子さん、華さん、みやびさん、葵さん、乃愛さんです」


「え?えっ?待って、そんないっぺんに言われたかて覚えきれんよ?」


「私たちはみな、組長様のご寵愛を受けている者です。そしてこのお屋敷に、それぞれ部屋を頂いて住まわせてもらってます。以後、お見知りおきを」


綾さんて人は、私の言葉なんか無視して話しを続けた。


……ちゅうか今、寵愛て言うた??そんでここにに住んどるて??


「う、うちの旦那さんの……ち、寵愛??」


つまり、この女の人たちは旦那さんの愛人!?
しかも一緒に住んでるやて!?


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