薬指の秘密
「ついでに何したいかも聞いちゃおうかな」

どこで何食べたいとか

ケーキ…はしるふの独壇場でもなにも問題ないだろう

天井を見つめながら唸るしるふの耳にドアの開く音が響く

「あ、黒崎先生ちょうどいいところに」

回転するのをやめて口を開いたのは、莉彩だ

「あ、ねえ、海斗。クリスマス何したい?」

ついでに何か欲しいものある?

「クリスマス?」

ドアに手をかけたまま海斗が足を止める

「そう、もう12月も中旬。そろそろお店予約するならしないとさ、いいとことられちゃう」

「そういえばこないだ飾りつけしたっけか」

記憶を手繰る海斗に向けるのは、怪訝な瞳

「忘れてたとか、言う?」

「キリシタンでもないし」

必要なこと以外は無関心を貫くのが海斗流

「今年は彼女がいるっているのに」

「それよりもシンガポール出張の方が重要案件」

「聞き捨てならないなー」

「まあまあ。論点がずれてますから、お二人さん」

仲裁に入ったのは、苦笑する飯田莉彩
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