薬指の秘密
「でもさ、良いじゃないクリスマスなんてうちの連れほとんど出張だしさ」

羨ましいけどねー

二人でふらふらと病院内を歩いていたら何気なく莉彩がつぶやいた

「とか言いつつちゃんとプレゼントも用意してくれるって言う優しい彼氏さんじゃない」

あの穏やかそう笑顔がとても印象的だ

「まあ、私この性格だしあっちがああじゃなきゃ釣り合いとれないのよね」

それもそうか、と失礼にも納得したしるふの耳に頭上から声がかかる

「立花ー」

呼び方は海斗と同じ

けれど声は違う

「山岸君」

記憶に新しい同級生だ

「また営業?」

しるふとつられた莉彩が足を止めたところまで小走りにやってくる山崎は今日もスーツ姿に

重そうな鞄

「まあ」

「高校と大学一緒だった山崎君。s機器に勤めてて営業で来てるんだって」

「どうも。看護師の飯田です」

「ああ、どうも」

なんて人懐こそうな笑顔、と心の中で思う
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