薬指の秘密
振り返れば、いつもの人懐こい笑みはない

「俺ならあんな寂しい顔させないなって」

「ああ…指輪のこと?」

夜も更けていてそんなに人通りはない

「いいの。別に指輪と付き合ってるわけじゃないし」

ただちょっとした夢だっただけだ

想われてないとは思わない

でも、もしそこに形があったなら

一つでもその想いを感じられるものがあったなら

きっともっと自信を持って隣に居られると

あのわかりにくい想いを感じられると思っただけ

「俺だったら指輪くらいいつでも買うけど」

なんならブレスレットとかネックレスとかも

「いや、別にお金がない人とかいうわけじゃないんだよ。ただ周りに詮索される要素を出すことが嫌いというか」

放っておいて欲しい気質が強いというか

「そうじゃなくて」

そうじゃないんだよ

言葉を切った山岸の瞳が真っ直ぐにしるふを射抜く
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