薬指の秘密
「ちょっと邪魔しないでよ。私はさっそく実践を」

再び背中に感じた海斗の体温

「言ったろう。しるふは抱き枕として長さが最高」

伝わる振動

「あ!またそう言う!!せめて抱き心地って言ってってば」

彼女としての面子が丸つぶれも良いところだ

「第一、抱き枕とか海斗、柄じゃないから!!いつも左側むいて寝る癖に!!」

「そういうしるふはよく寝言を言う」

「言わないったら!!」

もう!!

きっと睨み付ければ、面白そうに笑う

そっぽを向きつつも、絡められた腕に添える手は、決してそれをほどこうとはしない

ふと自分の手を見下ろして視線が止まるのは薬指

シルバーの真新しい輝きがはまる、そこ

そして背後からしるふを捕獲した海斗の右手にも同じ輝き

それが何よりもうれしい

「ねえ、海斗」

「どうした」

呼べば振動とともに低い声が耳元で響く



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