薬指の秘密

優しい光は甘い一時を

「はちみつ?」

「そう。はちみつ」

背中にあたる心地よい体温から離れないように首だけで見上げる

「はちみつだけであんなに味違うの?」

「らしいね。俺も試したことはなったから知らなったけど」

不満そうに眉を寄せるしるふに差し出されて飲んだミルクティ

たったほんの少しはちみつを垂らすだけなのにあんなに差が出るとは

「それならそうと早く教えてくれてもいいじゃない」

はちみつって4文字よ

「簡単に教えたら面白くないと思って」

快活に笑う海斗の振動が伝わってきてひとり頬を膨らませる

「どうしてそういう時にいらないsっ気を発揮するかな」

おかげで海斗がいない数日間、ミルクティはお預けだったじゃないか

仕事から帰ってきて一息入れるのに温かいミルクティは最高なのに

ふてくされて再び背を向けたしるふの髪を一房

笑いながら、海斗の手が優しくすいていく

「よし、そうとわかれば早速作ってみよう」

海斗から離れ、ごそごそと布団からはい出ようとするしるふを腕を伸ばして捕える
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