スカーレット

「ふーん。元カレねぇ……」

「なによ?」

「いや、渡辺はああいう男がタイプなのかと思って。なんつーか?爽やかスポーツマン系?」

「そうね」

彼に限らず私が付き合ってきた男性は一貫して、爽やかを絵に描いたような好青年だった。

彼らと付き合って教訓として得たのは、好青年に見えれば見えるほどその実態は嘘にまみれているということだった。

「俺と真逆だな」

「は?」

「ほら、俺はインテリ真面目系じゃん?」

……どの口がインテリ真面目系などとほざいた。

正座させて小一時間問い詰めてやろうか?

同期の佐伯は私が今まで出会った男性の中で群を抜いてふざけた男だった。

女性を見れば直ぐ口説く、ちょっかいを出す、尻を追いかける。

ふらふら遊びほうけているのかと思えば、仕事の実績はきっちり残しているし、見た目もそこそこだから、ひっかかる方の女性も後を絶たない。

インテリ真面目系など甚だしい。

< 4 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop