星に願いを~たくさんの幸せをありがとう~



~拓真 side~



『五十嵐君ちょっといい?』


柊達と美姫を待っていると蒔田先生に声をかけられた。


俺なんかしたっけ…?

頭の中でグルグル考えていると


柊『…行ってこいよ。』


まだ迷ってる俺は柊の一言で背中を押され


拓真『…わかった。お前らは先に帰ってて。』

柊『…あぁ。』


蒔田先生に連れられ校長室へ。



校長室に入り美姫と紺野の姿がみえた時

美姫が呼ばれたこととその内容がわかった。


校長『急に呼び出して悪かったね。
五十嵐君に聞きたいことがあるんだが…
いいかね?』


「聞きたいこと」って…

絶対美姫と紺野の事だよな…。


拓真『いえ…いいですよ。』


紺野がどうなろうと俺には関係ないけど

美姫は違う。

退学になったら俺も困るし

なにより美姫の悲しむ姿はみたくない。

だから2人が付き合ってる事を聞かれてもシラを切る。


校長『紺野先生と桜空さんが恋愛関係にあるという情報が入ったんだけど…』


やっぱな。

さっそく否定しようとした時


校長『桜空さんは君と付き合ってると言ってるんだが…本当かね?』


………へ?

誰が誰と付き合ってるって?


ちょっと待てよ。

美姫は紺野と付き合ってて

俺は美姫が好きで…

あれ…?

俺らって付き合ってんの?

…え!?

まじで!?

付き合って…


ない


よな…?


短い間にたくさん考えすぎて頭がパンクしそう…。

そうだよ。

俺と美姫は付き合ってない。

付き合いたいとは思ってるけど…

違う。

なのになんで美姫はそんな事言ったんだ?


少し冷静になり美姫をみると…


前を向いてるから顔はみえないけど

後ろで組んでる手にすごい力が入ってるのがわかる。

それになんとなく足も震えてる気がする。


…そっか。

わかったよ。



拓真『…はい。付き合ってますけど何か?』


俺がそう言った瞬間

美姫の後ろで組んでる手の力が弱くなり
肩の力も抜けた―

そんな気がした。


校長『…そうか。なら紺野先生とは何の関係もないと…?』

拓真『ないですよ。
美姫は俺と付き合ってますから。』


そうキッパリ言うと校長は信じてくれたらしく


校長『…わかった。
紺野先生も桜空さんも五十嵐君も
色々と悪かったね。
もう帰ってくれて構わないよ。』


『『『失礼しました。』』』


いつもと変わらず冷静な紺野と

いつもの笑顔とは違う
「営業スマイル」全開の美姫と一緒に校長室を出て帰ろうとすると


蒼『美姫ちょっと来て。』


紺野に呼び止められた。


美姫『え…?』

蒼『すぐ終わるから。』


そう言って美姫の腕を掴んで保健室に向かった。

これ…

止めたほうがいいのか…?

そう思っていると


美姫『大丈夫だから待ってて。』


いつもの笑顔でそう言い残し

2人は保健室へ消えていった。


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