星に願いを~たくさんの幸せをありがとう~



~蒼 side ~


外はもう真っ暗

美姫の誕生日プレゼント買ってたら

こんな時間になっちまった。

病室に行くと

寝てる……?

声をかけるが返事はない。

寝てるのか

それとも

怒ってるのか……

とりあえず起きるの待ってみるか。

しばらく待ってみると



美姫『………せんせ』

話しかけてきた。

ふとんに顔を隠して。


美姫『……なんで…
わたし…約束守れなかったんだよ?』

なんて言ったらいいんだ

蒼『………そうだな。』

そう言うと

そっきまでふとんで顔をかくしていた美姫が

起き上がり

美姫『先生テスト結果知ってたよね?
知ってて「お楽しみ」って言ったの?
全然お楽しみじゃなかった!!
最悪だったよ!!
あれのどこがお楽しみなのよ!!ねぇ!?』

いつも怒らない美姫が怒った。

大きい声で。

美姫のこんなところみたことない。

だって俺の知ってる美姫は

いつも笑ってて

大声なんて出せるのか?

って思うほど

大声だす姿なんてみたことないから


…………あれ?

美姫の目

腫れてる

泣いてたのか…

そして今も……

パンパンに腫れてるその目から

大粒の涙が溢れ頬をつたっていく

でも俺には

蒼『ごめん』

それしか言えない

だって結果知ってて期待させたのは

俺だから

美姫『もう帰って。
今は先生と話したくない。』


俺……

嫌われたかな

まぁ…当然か……

でも

まだ帰れない

大事な用事が残ってるから

蒼『まだ帰らない。』

そう言うと

また泣き出す



そんなに嫌か…

美姫の顔は涙でぐしゃぐしゃ。

そんな姿みたくない

ほんとはまだ一緒にいたい…

でもこれ以上美姫の泣いてるとこ

みたくない


蒼『そんなに嫌なら帰るよ。』

そう言い帰ろうとすると

俺のスーツの裾がひっぱられた。


美姫『…………行かないで。』

ぐしゃぐしゃの顔をみられたくないのか

うつむいてそう呟く美姫。

俺はしゃがんでベッドに座ってる

美姫を見上げ用意していた物も出した。

美姫『なにこれ?』

蒼『たんじょーびプレゼント♬』

約束を守れなかったことを言われたけど

これは教師としてじゃなくて

彼氏としてのお祝いだからいいんだよ。

美姫って変なところでまじめなんだよな

渡すと一気に笑顔になった。

ちくしょう。

かわいすぎだろ。

その笑顔反則。

お礼を言ったかと思えば

まだ泣く。

またかよ。

悲しくても嬉しくても泣く。

また顔が……

そんなに泣くなよ。

美姫へのプレゼント

それは…

ブレスレット。

こういう時

普通は指輪だったりネックレスあげる

みたいだけど…

指輪はまだ先。

でもこのブレスレットには

ちゃんと意味がある

このブレスレットに使われている石

7月の誕生石「インカローズ」。

この石には

「過去を癒し未来へ幸福をもたらす」

という意味がある。

美姫には辛い過去がある。

でもこれからは俺が美姫を幸せにしていきたい

だからこの石を選んだ。

もう一つの石にも

「真実の愛」

という意味がある。

両方ともピンクで美姫に似合う。

腕につけたり

眺めたりしている美姫。

さっきまでのことが嘘のように喜んでいる。

そんな美姫がかわいくて

愛らしくて

蒼『誕生日おめでとう。
これから先ケンカすることもあるかも
だけど俺はずっと美姫のことが好きだよ。
なかよくしてこーな。』

抱きしめて呟く。

美姫も

美姫『うん!!
わたしもなにがあっても先生のこと好きだよ』

小さい体で

小さい腕で抱きしめてくる。

俺がデートのことを言うと

またキラキラした笑顔で

美姫『行きたいっ!!』

と答え

退院したらデートする約束をした。

そして俺は美姫とわかれた。

さっきは冷静にしてたけど

やばいな

舞い上がってるな俺

美姫との初デート

すげぇ楽しみだな

今日は美姫のいろんな姿がみれた

怒ったところ

泣いてるところ

笑ってるところ

喜んでるところ

怒ってる美姫や泣いてる美姫は

あまりみたくないけど

やっぱどんな美姫でも

好きだよ。

美姫

誕生日おめでとう。

これからも

一緒にいよーな。

今日は美姫にとって大切な日。

そして……

俺にとっても大切な日になった。
< 44 / 142 >

この作品をシェア

pagetop