多重人格者【完結】
自宅謹慎
――――…ここは酷く暗い。



そこで対峙してるのは、あやめとカンナではない。

殺樹と、カンナだ。


カンナは鋭い視線を殺樹に向けると、口を開く。



≪なあ、殺樹。
お前の目的は自由に動いて、支配する事じゃないのか?≫



殺樹は相変わらず、薄らと笑みを浮かべたまま返す。



≪なんで、そう思う?≫

≪なんとなく。
お前は“俺も殺したいと思ってた”、そう言ってたが、そんな風にはどうしても見えない。
寧ろ、あいつの事は興味がない様に思えたよ≫

≪……≫

≪それから、考えてみたらある仮説に辿り着いた。
支配じゃないかって。
これしか浮かばなかった。
……どうなんだよ?≫



殺樹は口角を緩々と上げて、嬉しそうに微笑む。
カンナはそんな反応にもいちいち苛立つのか、眉を顰めている。
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