多重人格者【完結】
足で男の急所を思いっきり蹴り上げた。
蹲るそいつ。
アタシは首を掴むと、持ち上げてベッドへと投げる。
「ぐふっ」
「……くく、あはは」
その時。
「……あやめ?」
そう声がした。
ハッとして声がした方を見ると、目を真ん丸にしてこっちを見ている草野だった。
アタシがしてる様に、木に登って来たのか。
殺樹、てめえ。
ぐっと包丁を持つ手に力が入った。
草野はアタシが手にしてるモノを見て、顔を蒼褪める。
くっそ、この機会を逃したら一生殺す機会なんて来ねえ。