見た目イケメン、中身キモメン

ーー

「どうしましょう!」

とりあえず、久々に上がったあなたの部屋で寝かせてほしい。ベッドからトイレまで、ありとあらゆる場所で横になって熟睡したい!

とも行かないので、深呼吸するだけで止まる。あ、洗濯物!洗濯物はどこに干している!?

三億円を当てたらしい彼女。
三億円なぞ霞むほどにあたふたしている可愛い天使。銀行強盗して十億差し出すから、もっとあわあわしてほしい。

にしても、事が事だ。
彼女は気付いてないかもしれないが、あの売り場のお姉さんが大声で高額当選言うものだから、道行く人たちの視線を買ってしまった。

早々に彼女を連れて、安全な場所と思い彼女の部屋まで来てしまった。三億円当たって良かった、ごくごく自然に彼女の部屋に入れた。神様ありがとう。

彼女はまだ高額当選したことの自覚ないのか、頬をつねっている。ここに来るまで通算五回目だ。頬が赤くなっている。

やめなさい。やるなら俺の頬にしてくれ。引きちぎっても良いから、俺に触れてくれ。指紋つけるぐらい強く。

「え、えっと、た、宝くじ当たった時には、ど、どこで換金するでしょうか!」

銀行に決まっている。売り場の人説明してくれたのに、彼女はそれどころじゃないようだ。話すに限るが、あまり見ないあたふたを眺めていたい、後五分。

でも、教えて、『そっか!』となる顔も見たい。んー、悩むな。もう、天使凝視出来ればそれでいいか。俺の眼球に埋め込みたい。

スマフォでググり始める彼女ーーの前に、

「き、記念に」

パシャる彼女を、撮っておく。

ささやかなことをする彼女に感動した。額縁に飾ろう、これ。宝くじをとりあえず記念撮影する彼女と銘打って家宝にしよう。


< 11 / 26 >

この作品をシェア

pagetop