見た目イケメン、中身キモメン
「あ、今日も私の負けですね」
「……」
5分前行動どころか、10分前行動で待ち合わせ場所についたはずなのに、倉石さんは既に待ち合わせ場所にいた。
私の大学近くにある駅。講義が午前中のみで終わるため、倉石さんとデートの約束をしていた。
黒を基調とした、紳士的な服装は彼によく似合う。身長高いし、道行く人が振り向いているのだから、万人が認めるイケメン。
吐く息が白くなってきた季節だから、待たせちゃ悪いと思って走って来たのに、案の定、倉石さんは私より早く来ていた。
「いつも、何時に来ているんですか?」
寒いかなと、コートのポケットにあるカイロを渡す。受け取った彼は、くしゃくしゃさせながら手を温めるようだった。
「……」
微笑まれる。カイロに温かいと言っているようで、私の手に返された。
そのまま手を繋ぐ。
指先が冷たい。かなり待っていてくれていたみたいだ。今度は30分前に来ようかな。
「え?なんですか?」
「……」
頬を撫でられたので、彼を見上げる。
困ったような顔をしている。
「もしかして、私の考え、分かりますか?」
「……」
頷かれる。