サクラと密月
これは自腹だ。
飲んでいくうちに、お互いプライベートな話もぽつぽつ話始めた。
まず、和彦が昨日の続きで別れた彼女の話を始めた。
この話も、もはや持ちネタのようになっていて、本人も本当はどう思っているのか
よく分からなかった。
ただ、お互い興味をもっても切り出せずにいるよりは、場も和み会話も弾む。
そんな営業らしい姿は少し感動的かもしれない。
今日は金曜日ということもあって、メーカーの営業さんがピッチが早く2本目を注文した。
そのうちお互い会社の愚痴に近い話になる。
主に女子社員の噂話になった。
「そういえば、前回大丈夫でしたか?彼女実はお宅の会社の部長の彼女なんですよ。」
一瞬場の雰囲気が固まった。
「うちの上司、お宅の部長に頭上がらないから毎回プレゼンやらされるんですよね。」
おい、ちょっと待て。
一体なんの話だ。俺は心臓が飛び出しそうになった。
「そ、それで彼女と若い子残して自分は帰っていくんだよね。」
「奥さん怖いらしいよ。」
「いい年なんだから卒業しろっての。」
そう言ってから二人はしまった、という顔になった。
でもかなり有名な話らしく、悪びれた様子はあまりない。
もうずいぶん前から社内で話題になっているのだろう。
話方に違和感や驚きがないのだ。
「彼女も優秀なんだけど、優秀すぎてちょっと鼻につくよな。」
二人はそう言って笑った。