サクラと密月
彼女の彼氏は、会社の期待の新人エンジニアの圭介さん。
設計だけではなく、営業もできると評判だ。
何度かご一緒させていただいたが、仕事がやり易かった。
相手先にも評判は上々。
説明が丁寧でわかりやすい。
男の俺でも一目置く男、そんな人の彼女だったら口を挟む余地なんてどこにもなかった。
しかし俺は見てしまったのだ。
仕事の帰りに圭介さんと香織さんが腕を組んで歩いている姿を。
それはもうずいぶん前の話だ。
そしてあの飲み会だ。
俺も入社したて、未羽も一人部外者ということで話しやすかった。
話してみると気が合って盛り上がった。
こんなに話が合う人っているんだなと思った。
飲み会も楽しかったが、カラオケも楽しかった。
香織さんのことは多分気の迷いだろう。
香織さんは部内でも有名なイケイケだったし、俺なら女性社員の機嫌だけは
そこないたくない。
飲み会で人気のある男性社員が女性社員にちやほやされることはよくある。
それくらい圭介さんも女性社員に人気者だった。
飲み会で知り合いの女性と腕を組んだりすることはよくあること。
香織さんは特にお酒が入ると男性社員に絡むことでも有名だった。
ただ、仕事はできる人だったので、そういうキャラだと思っていた。
未羽さんはそういうことも理解しているのだと思っていた。
そしてそんな風に思いやれる彼氏と彼女の二人を、俺は羨ましく見ていた。
香織さんには口がさけても言えないが、少なくとも圭介さんにはその気がないものだと
思っていた。
初めてあってもこんなに魅力的な、未羽さんのことが本命だと思っていた。
お酒の席に会社外の彼女を連れてくるなんてそれ以外にない。
そんな皆に公認な二人がとても羨ましかった。
俺は元カノとの関係が怪しかったから。