「私は貴方のモノ」【完結】

カジュアルなワンピースに身を包んだ彼女は、楽しそうにマイクを手に持ち歌っていた。
そんな彼女につられる様に、客も盛り上がって行く。


この時に湧き上がった感情は、どうしようもない嫉妬だった。

全てを手に入れてる様に思えた俺が、彼女を何故だか酷く羨ましいと思ったんだ。


それが始まり。

そして、それが次第に彼女が欲しいに変化していくのに、そう時間はかからなかった。


最初は、愛したかったわけじゃない。

俺の手でその顔を歪ませたかった。
ぐちゃぐちゃにしてしまいたかった。

どうしようもない屈辱を味あわせて、俺だけを見させるようにしたかった。


それがどんな感情であろうとも。

俺しか考えられない様にと。



なのに。

俺は、彼女をいつの間にか心の底から欲しいと思っていた。

…愛してしまったんだ。
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