ルナア薬
紳士のテルマは意外とうまかった。特に、英語の歌詞の部分がうまかった。

田中は次に老婆の前に座っている男子小学生の心をよんだ。
(こわいよー、こわいよー)
なにやら、男子小学生はおびえているようである。
((((゜д゜;))))


何をおびえているのだろうか?

さらに、男子小学生の心をよむ。
(このバスに付いている“次停まります”のボタンを全部同時に押したら、このバスは爆発しちゃうんだ。
((((゜д゜;))))
そんな確率はほとんどないとは分かってるけど、こわいよー)
男子小学生は都市伝説を信じているようである。

かわいいな。

などと思っていると、
『ルナア研究所前~、ルナア研究所前~』
車内アナウンスが流れた。

田中の下車する駅である。

田中はバスから降りると、ふとバスの中を覗いた。

席を譲った老婆が田中にニコッと笑っている。

老婆の心の中は
(痛い! 痛い! 痛い! アナ○が痛い!)である。



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