遊川さんは今日も最強
「ちょ、網目、大丈夫?」

「こらぁ、大田!」

俺は痛みよりも恥ずかしさで、扉の向こうにいる大田に向かってつかつか歩み寄った。

逃げようとしてる大田の襟首を捕まえ、廊下の壁に威圧的においつめる。
逃すもんか、こんちくしょう。

というところではたと気づく。

あれ? 
なんで俺は大田の方を壁ドンしているんだ?

「ごめんって、ごめん。網目くん」

大田は笑い過ぎで涙まで出している。
酷い。男の純情をなんだと思っているんだ。

「お前、覗くとか最低だから!」

喚いていると、ゴツっと鋭い音がする。

ふと隣を見ると、遊川さんのパンプスが壁に食い込まんばかりに押し付けられている。

俺があっけにとられている隙に、大田は俺の腕からするりと抜け出し、遊川さんの背中に回った。

「助かった。遊川さん、ありがとう」

「気をつけて帰りなさい。若葉ちゃん」

「はい!」

キュンとするほど爽やかスマイルで、遊川さんは大田を見送ったかと思うと、足を上げたまま俺の体を叩き反転させる。
そのまま、すっかり壁際に追い詰められてしまった。

ああ、足上げすぎ。
パンツ見えますよ、遊川さん。

てか。
俺今、遊川さんに足で壁ドンされてる……!
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