遊川さんは今日も最強
「じゃあ、網目は上がってる方の原稿の校正してくれる?」

「ハイ」

「助かるわ。ありがとうね」

受け取るときに手が触れた。興奮からか心拍数は一気に上昇。

確かにチャンス。
もう一応定時も終わっているから、ちょっとくらい羽目外してもいいよな?

「遊川さん」

「んあ?」

俺は気のない返事をした彼女の肩を掴んで、雑誌のバックナンバーや資料本が収められている書棚に追い詰めた。
俺の影が、遊川さんを覆う。

「こんな時になんですけど、実は俺、遊川さんのことがっ」

勢い良く書棚の棚板部分に手をかける。ちょうど彼女の顔の脇あたりだ。

不思議そうな顔で見上げる遊川さん。

ここ近来見ないほどの凛々しい顔で彼女を見下ろす俺。


……の脳天におちる雑誌のバックナンバー。


「……いってぇ」

俺はうずくまって頭をおさえる。
と同時に扉の向こうから爆笑の声が聞こえてくる。

畜生、大田、覗いていやがったな。
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