雪の日の残像~記憶のヒトカケラ~
出会いと別れ
手のひらに乗る雪はなんて儚いのだろう。
病院内の散歩道を一人歩く僕の前を少女が走っていく。それをうっとうしく思いつつ、かじかむ手を擦り歩いていた。
「今年もあと少しだなぁ。」
きっと誰も聞こえないと思っていた呟きに、少女は立ち止まった。


「おにいちゃんは、かなしいの?」

少女は言った。
そして僕の顔を指差す。その頬にふと手をあてて見ると、そこには涙の雫が。涙に気付かなかった僕は、自分で自分にビックリした。



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