思い出の場所で②
誤解が解けたら
壁と悠紀にかこまれて、逃げ場のなくなった私。

これって、゛壁ドン゛ってやつをされているんだけど、そんなことも分からない。

「亜弥」
悠紀が優しく私の名前を呼ぶ。
私はゆっくりと話し出した。

「…ごめんなさい。
なんか私、場違いなような気がして…。
…志村さん?綺麗な人だよね?
彼女、…悠紀のことが好きなんでしょう?
そしたら、私、邪魔だし。
ここ何回か、悠紀、ドタキャンが続いたけど、志村さんと一緒だったんでしょう?
みんな、悠紀と志村さんが付き合ったらいいって言ってたし。
でも…。
私は悠紀が好きだから。
サヨナラ言われるのが怖いから。
だから…」
ここまで話して、涙が溢れた。

ヤダな…
泣きたくないのに…

「…だから逃げたのか?」
悠紀に聞かれて頷いた。

「ゴメン!
俺が悪いよな。
ちゃんと説明しなかったから。
亜弥、聞いてくれるか?
大丈夫。
サヨナラなんて言わないから…」

思わず彼を見上げた。

「俺が好きなのは、亜弥、お前だけだよ」

その言葉に、また涙が溢れる。
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