居場所

学校に着き何時間目かも分からない教室の扉をゆっくりと開ける。

その開ける音でみんなの視線があたしに集中した。
 

「美山、早く席に着け」 


先生はもう呆れたのかあたしに何も言ってこない。初めはゴチャゴチャと何か言ってたけど、もうめんどくさいのかあたしに何も言わなくなった。 


あたしはとりあえず自分の席に座り、意味もなくボーっと黒板を見つめた。 

休み時間、昼休みあたしは1人。 


友達は誰1人いない…あたしから話す勇気もない。あの時からそうだった…私はいつも1人だった。でも、あたしはそれが苦にならない。 

だけど、ひとつイイ事と言えば昔のあたしを誰も知らないと言う事。 


たった30分しか離れていないけど学校のみんなはあたしを知らない。 

もう6年前の事…。 


その歳月があたしを消してくれている。 




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