君への距離~僕らの未来~


ところかわって富山、大崎老人ホーム。





「あんれまあ!ピッチャーの子がホームラン」


おばあちゃんが目を丸くする。



「平尾はバッティングもええ選手じゃからなぁ!」


隣で見ていたおじいちゃんもなぜだか得意気。





「前田さん、河合さん、気分はいかがですか?」


水色のエプロン姿のがっちりした職員らしき男がニコニコしながら見回りにやってきた。





「ああ、いい気分じゃ!巨人が勝ちそうだからねぇ」

おじいちゃんがニヤリと笑った。



「そうですか、勝ちそうですか!」

男は嬉しそうに言った。



「平尾はエースだからな!当たり前じゃけどな!」




おじいちゃんはさらにヒートアップ!





「アツシ君も野球やってたんじゃろ?」


おばあちゃんが言った。




「ええ、キャッチャーを!」



男はにっと笑った。





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