守ります。
スーツの内ポケットから何かを取り出していた。


2・3歩、距離が出来ていた私に近づいて


「俺、荒木 孝太って言います」


名刺を差し出した。


「…えっと…」

「あっ、いや。そのっ。怪しい者じゃない事を伝えたくて」


キョトンとした私に何かを感じたのか慌ててそう言ってきた。


「…あっ。はい」


名刺を素直に受け取った。


「…あのっ。…良かったら今夜、御飯食べませんか?…あっ、いや。案内してくれたお礼に御飯、ご馳走させて下さい。…えっと‥迷惑でなかったら」


「お礼なんて…大した事してないのに…」


「…じゃぁ、気が向いたら俺の携帯に電話下さい。…すみません。出勤の時に…。
ホント、道案内助かりました。ありがとうございました」


ニコリと笑って彼は目的地のビルに入って行った。




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