永遠の果て
 冷ます必要もないほど、コーヒーは冷めていた。ぬるいコーヒーを口に運ぶ。
 苦さと甘さが、口の中いっぱいに広がった。
 直樹との日々も、苦くて、甘かったような気がする。

 コーヒーを飲み干すと、鞄を持って立ち上がる。
 今を逃したら、一生前に進めない気がした。

「太田、私行かなきゃ」
 そう告げると、真っ直ぐに私の目を見て、太田は頷いた。

「後ろには戻ることはできないけど、前に進むことはいくらだって出来るわ」
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