好きじゃないならキスするな!…好きならもっとキスをして。
一瞬、課長の顔が頭をよぎった気がしたけど……今の私に好きな異性はいない、はず。……少なくとも、それが俊じゃないのは確かだ。


「……分かったよ」

俊は眉間に皺を寄せて、頭をガリガリと掻いた。物事が予定通りに進まなくてイラッとしたときの俊の癖だ。正直、余裕のなさがあらわになるこの癖は昔からやめてほしかったし、やめた方がいいと言ったことも何度かあったのに。

などと考えてると、俊は、思いがけないことを言ってきた。

「じゃあさ、時々ヤらせてくれない?」
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