好きじゃないならキスするな!…好きならもっとキスをして。
あれ。なんで課長の顔が思い浮かんだんだろう。

でも、確かに課長は私と俊のこともいろいろ知ってるし、年上だから人生経験も豊富だし、相談には乗ってくれるかも……。

以前、なにかのテレビで『セフレを自分にとっての一番の理解者と誤解する女性が多い』みたいに言っていたのを聞いていたけど……いや、別に一番の理解者と思ってるわけじゃないもん。ほかに、相談できる人がいないだけ。


課長が相談に乗ってくれなければ、それはそれで仕方ない。そう思い、試しに一回だけ電話をしてみた。今日は土曜日だし、時間もちょうどお昼前だし、どこかに出かけてるかも。出かけてたら、それはそれでいいや。ほんとに、そのくらいの気持ちだった。そんな気持ちで相談に乗ってもらおうとするなんて失礼なんじゃないのって言われても仕方ないくらい、とにかくそのくらいの気持ちだった。

プルル、プルル……、と、何回かコール音が聞こえる。でも、出ない。やっぱりどこかに出かけてるのかも。仕方ない、何度もコールしても迷惑だろうし、もう切ろう。

そう思った時。


『もしもし?』
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