悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
泣きながらも、リカは昨日の告白の状況を語ってくれる。


「すっごい緊張したけど、ストレートに『好きです。付き合ってください』って言ったの。そしたら即答で『ごめん』って……! 少しくらい考えてくれてもいいのに、即答って!」


あー……なんか目に浮かぶな、淡々と断る柳が。

たしかに、傷付く乙女心をもう少し気遣ってくれてもいいのにと思うけど、アイツはそういうとこに疎そう。


それからも続くリカの話では、

『俺、奪いたいって思うくらい好きになったヤツじゃないと付き合えないんだ』

……と、言われたのだとか。

奪いたいっていうところが柳らしい。

でも、半端な気持ちでは女子と付き合わないんだろうと思うと、ちょっぴりキュンとした。ちょっとだけね。


「失恋って、こんなにツラいものなのね……」


唇を噛みしめて涙をこぼすリカを見ていると、あたしも胸がギュッと苦しくなる。

こんなに泣くくらい、本気で好きだったってことだもんね?

浮かれまくってたリカだけど、軽い気持ちで恋してたわけじゃなかったんだ。

そう思うとやっぱり同情するな……。

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