悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
もーアイツがあんなことするから……

……いや、柳が悪いんじゃなくあたしがスロースに行かなければよかったわけで、大元の原因はやっぱり家出なんだから変なことはするもんじゃないよね

って今はそれはどうでもよくて!


「何ぶつぶつ言ってるのよ」

「え!? あ、いや」


据わった目で無意識に呟いていたあたしを見るリカだけど、怒りの色はどんどん濃くなるばかりだ。


「私のこと応援してるフリして、本当は上手くいかなければいいって思ってたんじゃないの? 私がフラれた時も、腹の中では笑ってたんでしょう」

「っ、そんなことない!」

「じゃあ、どうして私がフラれた直後に二人きりで会ってたのよ? 人の気持ちも考えないで……!」


吐き捨てるように言われて、やっぱりあたしは軽率な行動をしてしまったんだと後悔した。

リカの言う通り、失恋して間もない彼女の気持ちを考えれば、あたし達が二人で会ってたと知って嫌な気分になっても仕方ない。

そういうこと、あたしは全然考えてなかったな……。


「ごめん……」


素直に謝ったけれど、それでリカの怒りが治まるはずもなく。


「……こんな屈辱を受けるのは初めてだわ」


捨て台詞を残して、彼女は自分の席へ戻っていった。

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