悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
すくっと立ち上がったあたしは、柳の脇を抜けて走り出そうとした。……のだけれど。
「ちょっと待てよ」
上履きを持ったあたしの手首が彼に掴まれ、引き止められてしまった。
「離して!」
「何で突然逃げんの」
「何でもいいでしょ!」
「よくない。理由を言え」
振りほどこうとしてもそれはかなわず、少し怒ったような鋭い眼差しに一瞬怯んでしまう。
「っ、あんたといるとこを見られたら厄介なことになるから!」
とりあえず理由を言えば離してくれるだろう。
そう、思ったのに。
「……ふーん? なんかよくわかんねぇけど、とりあえずお前だってバレなきゃいいんだな?」
無愛想な顔でそう言った柳は、掴んだままのあたしの手首を自分の方へ引っ張った。
「ひゃっ──!」
ぽすん、とぶつかったのは柳の胸。
そして、彼の腕に覆われて周りが見えなくなった。
あ、あたし……抱きしめられてる──!?
「ちょっ、何やって……!」
「こうしてればお前の顔見えないだろ」
「でも目立つし……! ていうか離してよ!」
「やだね」
えぇぇ、なんでーー!?
「ちょっと待てよ」
上履きを持ったあたしの手首が彼に掴まれ、引き止められてしまった。
「離して!」
「何で突然逃げんの」
「何でもいいでしょ!」
「よくない。理由を言え」
振りほどこうとしてもそれはかなわず、少し怒ったような鋭い眼差しに一瞬怯んでしまう。
「っ、あんたといるとこを見られたら厄介なことになるから!」
とりあえず理由を言えば離してくれるだろう。
そう、思ったのに。
「……ふーん? なんかよくわかんねぇけど、とりあえずお前だってバレなきゃいいんだな?」
無愛想な顔でそう言った柳は、掴んだままのあたしの手首を自分の方へ引っ張った。
「ひゃっ──!」
ぽすん、とぶつかったのは柳の胸。
そして、彼の腕に覆われて周りが見えなくなった。
あ、あたし……抱きしめられてる──!?
「ちょっ、何やって……!」
「こうしてればお前の顔見えないだろ」
「でも目立つし……! ていうか離してよ!」
「やだね」
えぇぇ、なんでーー!?